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【将棋戦法ミニ事典ー中飛車編vol.15】先手中飛車対☖6四銀急戦

【将棋戦法ミニ事典】では、昭和の定跡から最新戦法までさまざまな基本戦法を解説しています。本記事のテーマは「先手中飛車対☖6四銀急戦」です。詳細は下の【テーマ図解説】をご覧ください。

テーマ図解説

先手中飛車に対する居飛車側の対策はさまざまで、急戦系の作戦からガチガチに組む居飛車穴熊まで色々とある。テーマ図は先手中飛車に対する定跡型のひとつで、居飛車から角交換をする急戦策である。一昔前に主流だった定跡で、公式戦では2008年〜2013年に実戦例が多い。

【第1図】居飛車の旧型(☖2二玉型)

テーマ図以下の指し手①
☖2二玉(第1図)

第1図の☖2二玉は、玉を深く囲う自然な手。中央辺りで戦いが起こった時に、戦場からあらかじめ遠ざかっておく意味で価値の高い一手である。後手陣はここから☖3二金〜☖4四歩〜☖4三銀〜☖5二金と雁木囲いを目指すのが最終型。実際には早い段階で戦いが起こることが多いので、ここまで組み切る余裕はなさそうではある。

【第2図】先手陣はこれで完成形

第1図以下の指し手
☗6六銀 ☖3二金
☗7七桂(第2図)

先手陣は☗6六銀〜☗7七桂(第2図)と駒を活用してほぼ完成形である。第2図で後手は☖4四歩または☖3三桂ぐらいが自然な活用で、先手は☗7五銀とぶつけて仕掛けていくのが定跡化されている。

【第3図】定跡化された☗7五銀

第2図以下の指し手
☖4四歩 ☗7五銀(第3図)

第3図の☗7五銀が積極的な仕掛けで、盤上から銀が消えれば5筋が突破しやすくなるという仕組み。久保利明八段が最初に指した手で、以降はこの形では部分的な定跡となっている。

【第4図】深浦康市王位ー羽生善治王将戦(2009年/王将戦七番勝負)

第3図以下の指し手
☖同 銀 ☗同 歩
☖3五歩 ☗4六歩(第3図)

第4図は2009年の王将戦七番勝負第4局☗深浦康市王位ー☖羽生善治王将戦の実戦でも現れた局面(実戦は9筋の歩の突き合いがある)。中飛車側の☗7五銀のぶつけは部分的に定跡化された手で、対して☖5三銀と引くのは☗5五歩から一歩交換しておき先手十分になる。

第3図から実戦は☖8六歩☗同歩☖同飛☗7四歩☖同歩☗5五歩と進んで一局の将棋。AIの評価値は先手に+100点前後とわずかに振れる。

【第5図】中央を手厚くする☖4四歩

テーマ図以下の指し手②
☖4四歩(第5図)

第5図の☖4四歩は中央志向の手で、☖2二玉(第1図)に代わって出てきた新しい指し方になります。第5図から後手は☖4三銀〜☖4二金と中央を手厚くする構想がある。

【第6図】中央志向の☖4二金型

第5図以下の指し手①
☗6六銀 ☖4三銀
☗7七桂 ☖4二金(第6図)

第6図は、第3図と比べると中央に手厚い陣形だとわかる。また、将来後手から1筋を攻めて行ったときに、☖3二玉型なので反動が小さいメリットもある。先手はやはり☗7五銀とぶつけて銀交換を挑んでくる。

【第7図】この形でも☗7五銀

【第8図】郷田流☖5二金右

第5図以下の指し手②
☗6六銀 ☖4三銀
☗7七桂 ☖5二金右(第8図)

第8図の☖5二金右は、郷田真隆九段が最初に指した手で「郷田流」の呼び名がある。後手陣は右の金が動くと、将来☗7一角と打たれる筋が付き纏うのが気になる。第8図で☗7五銀は、第7図と似た局面になるので次は別の仕掛け方を解説していく。

【第9図】シンプルに5筋の突破を狙う

第8図以下の指し手
☗5五歩 ☖同 歩
☗同 銀(第9図)

第9図は、第8図から☗5五歩☖同歩☗同銀と仕掛けた局面。中飛車なのだから5筋から仕掛けるのは当然と言えば当然だが、従来この仕掛けは成立しないものと考えられていた。第9図では後手から上手い手がある。

【第10図】割打ちの角

第9図以下の指し手
☖5八歩 ☗同 飛
☖6九角(第10図)

第10図の☖6九角には☗6八飛と寄れば角が詰むが、それだと☖7八角成の後☖5五銀と銀を取られて先手が失敗する。従来はこの反撃があるから先手は5筋から動けないと思われていたのだ。しかし第10図では☗6四銀として案外いい勝負だと分かった。

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