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【将棋戦法ミニ事典ー中飛車編vol.44】ゴキゲン中飛車対超速☗3七銀戦法④☖3二銀型急戦

【将棋戦法ミニ事典】では、昭和の定跡から最新戦法までさまざまな基本戦法を解説しています。本記事のテーマは『ゴキゲン中飛車対超速☗3七銀戦法』です。詳細は下の【テーマ図解説】をご覧ください。

【テーマ図】ゴキゲン中飛車☖3二銀型急戦の基本図

〜テーマ図解説〜

テーマ図はゴキゲン中飛車対超速☗3七銀戦法の定跡型のひとつです。2010年から2017年に掛けてよく指されていた定跡で、公式戦の実戦例は70局を超える。

美濃囲いが未完成の状態で☖5六歩と突いたのは、先手の左銀が働いてくる前にポイントを上げておきたいという意図がある。図では☗3三角成☖同銀☗5六歩☖同飛までは必然の進行で、そこで先手①☗6五角(第2図)、②☗2四歩☖同歩☗3五歩☖同歩☗2三角(第7図)、③☗6八銀(第9図)という3つの手段がある。

【第1図】22手目☖5六同飛の局面

◎テーマ図からの指し手
☗3三角成 ☖同 銀
☗5六歩 ☖同 飛(第1図)

第1図は、テーマ図から数手進んだ局面。図で先手は①☗6五角(第2図)、②☗2四歩☖同歩☗3五歩☖同歩☗2三角(第7図)、③☗6八銀の3つの有力な手段がある。それぞれ順番に見ていこう。

【第2図】23手目☗6五角の局面

◎第1図からの指し手①
☗6五角(第2図)

第2図の☗6五角は、飛車取りと角成りを見た両狙いの手。図で後手は☖5三飛と引けば両方とも受かるのですが、☗3七桂の活用が次の☗4五桂を見て味がいい。図では①☖5三飛と、あえて馬を作らせる②☖5一飛が考えられる。

【第3図】25手目☗3七桂の局面

◎第2図からの指し手①
☖5三飛 ☗3七桂(第3図)

第2図で☖5三飛と引く手には☗3七桂(第3図)と跳ねる。図では次に☗4五桂が厳しいので、後手はこれを受ける必要がある。問題はその受け方で、☖5一飛や☖4四歩は論外。よって☖4二銀と☖4四銀が候補に上がる。銀がどちらに動いても、先手は手薄になった二筋の歩を突く。

【第4図】31手目☗5六角の局面

◎第3図からの指し手
☖4二銀 ☗2四歩
☖6四歩 ☗5四歩
☖5一飛 ☗5六角(第4図)

第3図では☖4二銀でも☖4四銀でも先手は二筋の歩を突く。素直に☖同歩☗同飛と進めるのは後手の二筋が薄く、簡単に先手が良くなる。なので手順に一段飛車に引いた第4図で後手は☖2四歩と手を戻す。第4図は先手が少し良い。次は第2図で☖5一飛と引く手を見ていく。

【第5図】26手目☖7四角の局面

◎第2図からの指し手②
☖5一飛 ☗4三角成
☖7四角(第5図)

第2図で☖5三飛と引く手は、後手が良くならなかった。次は☖5一飛と引く手を見ていく。第2図で☖5一飛と引く手に先手は当然☗4三角成とします。ただ馬を作られて何もなければ後手は「馬損」が響いてくるだけだが、続く☖7四角が後手狙いの一着で、これで先手の馬の行き場所がない。

【第6図】30手目☖4二金の局面

◎第5図からの指し手
☗4八金 ☖4二金(第6図)

第5図の☖7四角は次に☖4七角成の狙いがある。先手は☗4八金か☗5八金左とすれば簡単に受かりますが、続く☖4二金(第6図)が後手真の狙いとなる。☖7四角と打った効果で、図で先手は☗6五馬と引く手がない。仕方なく☗6一馬だが、せっかくの馬が金との交換になってしまった。後手の術中にハマったかのように思える第6図だが、形勢自体は先手が少し良い。

【第7図】27手目☗2三角の局面

◎第1図からの指し手②
☗2四歩 ☖同 歩
☗3五歩 ☖同 歩
☗2三角(第7図)

第7図は、第1図から☗2四歩〜☗3五歩と突き捨てて☗2三角と打った局面。本テーマである☖3二銀型急戦に対する先手第二の手段で、自陣に馬を作って指す狙いがある。図は飛車と金の両取りなので後手は☖5一飛と引く一手。

【第8図】31手目☗5六角成の局面

◎第7図からの指し手
☖5一飛 ☗5五歩
☖8二玉 ☗5六角成(第8図)

先手はすぐに馬を作る必要はなく、一旦☗5五歩と打って拠点を作っておくのが定跡。図の☗5六角成では、☗4五角成も考えられる。第8図の形勢は先手良し(先手55%)。中央を守る馬の守備力が強力で、先手は自然に駒を活用していけばよい。

【第9図】23手目☗6八銀の局面

◎第1図からの指し手③
☗6八銀(第9図)

第9図は、第1図で☗6八銀と上がった局面。これまでに解説した2つの指し方はどちらも先手有望でしたが、先手には☗6八銀という第三の有力な指し方もある。これまでの作戦とは違って、盤上に角を放つわけではないので狙いが見えづらい。図で☖7六飛には☗7七銀と上がり、①☖5六飛には☗5五歩、②☖7四飛には☗6五角で飛車が狭い。

【第10図】33手目☗2六飛の局面

◎第9図からの指し手
☖5一飛 ☗2四歩
☖同 歩 ☗3五歩
☖同 歩 ☗3四歩
☖2二銀 ☗2四飛
☖2三歩 ☗2六飛(第10図)

第9図で後手は☖5一飛以外の手を指すと、☗5五歩と蓋をされて飛車がせまい。先手は2筋、3筋と歩を突き捨ててから銀頭に歩を叩くのが急所で、これが先手の狙いである。☗3四歩を☖同銀と取るのは、☗2四飛と走られてまずい。よって☖2二銀と引いて辛抱するが、2一の桂馬が跳ねられないので後手は左辺の形が苦しい。

第10図の形勢は先手良し(先手55%)。図からは☖3二金に☗6六角と打つ実戦例が多いが、他にも☗7七銀や☗5八金右と金銀を動かす手も考えられる。

【結論/まとめ】先手良しの定跡(期待勝率55%以上)

先手には3つの有力な手段があり、どれも先手有望。後手はその全てに対して対策する必要がある。

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