【将棋戦法ミニ事典】では、昭和の定跡から最新戦法までさまざまな基本戦法を解説しています。本記事のテーマは「ゴキゲン中飛車対☗5八金右超急戦」です。詳細は下の【テーマ図解説】をご覧ください。

テーマ図解説
テーマ図はゴキゲン中飛車対☗5八金右超急戦の定跡型のひとつ。☗6六香と打つ定跡は2000年〜2004年頃によく指されていた形で実戦例も多い。
テーマ図では☖5四銀と打つのが定跡で、そこで先手の指し手が①☗2二歩(第2図)、②☗2三角(第5図)、③☗1三竜(第8図)に分岐する。
【第1図】24手目☖5四銀
テーマ図からの指し手
☖5四銀(第1図)

テーマ図の☗6六香には☖5四銀が定跡の受け。☗6三桂(香)成と☗4三桂成の両方を受けながら、☖5五銀と桂馬を外す手を含みにしている。まずはここで☗2二歩とする手を見ていく。
【第2図】25手目☗2二歩
第1図からの指し手①
☗2二歩(第2図)

第1図で☗2二歩(第2図)と打つ手は、2002年の☗青野照市九段ー☖久保利明七段戦が定跡のベースになっている。第2図で☖同飛は☗1八角が受けづらく先手良し。青野ー久保戦では☖5五銀と桂馬を外している。これはこれで中々有力であるが、最善手とされたのは☖5三香(第3図)と打つ手。
【第3図】26手目☖5三香
第2図からの指し手
☖5三香(第3図)

第2図の☗2二歩には☖5三香(第3図)と打つ手が最善手とされている。次に☖5五銀☗同歩☖同香と反撃をするための下準備で、先手の玉頭を攻めているだけに迫力がある。第3図で☗2一歩成は速度が遅く、☖5五銀で後手有利になる。一度自陣に手を加える必要がありそうだ。
【第4図】32手目☖5五同香
第3図からの指し手
☗3六角 ☖7二銀
☗2一歩成 ☖5五銀
☗同 歩 ☖同 香(第4図)

第3図では☗3六角と打つ手が定跡化された手。角のラインで後手玉を睨みつつ、第4図で☗5四歩(☗5四銀)と反撃する手を含んでいる。第4図の形勢は後手良し。①☗5四歩は☖8九馬☗3一と☖6七馬、②☗5四銀は☖同飛☗同角☖5七歩。
【第5図】25手目☗2三角
第1図からの指し手②
☗2三角(第5図)

第5図は、第1図で☗2三角と打つ変化。この定跡は2002年の王位戦七番勝負☗羽生善治王位ー☖谷川浩司九段戦がベースになっている。第5図の☗2三角は超急戦の戦型では部分的な定跡で、後手は☖5一金右と受けるのが定跡化された受け方。
【第6図】27手目☗3四角成
第5図からの指し手
☖5一金右 ☗3四角成(第6図)

先手は☗3四角成(第6図)と馬を作って磐石の体制。次に☗4三桂成の攻めが表向きの狙いである。羽生ー谷川戦は第6図から☖4二銀☗2三歩☖7二玉☗2二歩成☖6一香(第7図)と進んでいる。
【第7図】32手目☖6一香
第6図からの指し手
☖4二銀 ☗2三歩
☖7二玉 ☗2二歩成
☖6一香(第7図)

第1図の☖5四銀から、☖5一金右、☖4二銀、☖7二玉、☖6一香と、後手の谷川九段は五手連続で受けの手を指している。最終手☖6一香は厳密には最善ではない可能性が高いが、後に☖6四歩〜☖6五歩の逆襲が間に合って後手がペースを掴んだ。
【第8図】25手目☗1三竜
テーマ図からの指し手③
☗1三竜(第8図)

本記事の最後に、テーマ図で☗1三竜(第8図)の変化を見ていく。この手も第6図の☗3四角成と同じような狙いで、次に☗4三桂成を狙っている。図で後手は☖4二銀と上がれば簡単に受かっているように見えるが、☖4二銀には☗4四角と歩頭に角を打つ手が妙手で先手の攻めが繋がる。
【第9図】27手目☗8二角
第8図からの指し手
☖7二銀 ☗8二角(第9図)

第7図の☗1三竜には☖4二銀がダメなので☖7二銀と上がるのだが、☗8二角(第9図)と打ち込まれる隙が生じてしまった。第9図で後手は☖8九馬が自然に見えるが、先手の☗9一角成と香車を取る手も大きな手で、この交換は先手が少し得と見る。
【第10図】32手目☖5五同飛
第9図からの指し手
☖5七歩 ☗同 金
☖5五銀 ☗同 歩
☖同 飛(第10図)

☗8二角(第9図)には、☖5七歩と打つ手が手筋。☗同金と取らせることで、後の☖4五桂を厳しくする狙いがある。第10図までの手順は2016年の豊島将之七段ー久保利明九段戦の進行。第10図では☗5六歩と打つ手が普通の手で、そこで☖2五飛と転回して一局の将棋。