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【将棋戦法ミニ事典ー中飛車編vol.56】ゴキゲン中飛車対☗5八金右超急戦⑥康光流☖5四歩

【将棋戦法ミニ事典】では、昭和の定跡から最新戦法までさまざまな基本戦法を解説しています。本記事のテーマは「ゴキゲン中飛車対☗5八金右超急戦」です。詳細は下の【テーマ図解説】をご覧ください。

〜テーマ図解説〜

テーマ図はゴキゲン中飛車対☗5八金右超急戦の定跡型のひとつ。図の☖5四歩は2007年に佐藤康光棋聖が最初に指した手で、公式戦では2007年〜2008年に掛けてよく指された。

☖5四歩は先手の攻めを催促した意味の手で、☗6三桂成を呼び込んでしばらく受けに回る方針。

【第1図】23手目☗6三桂成

テーマ図からの指し手
☗6三桂成(第1図)

テーマ図の☖5四歩には☗6三桂成と成り捨ててしまうのが定跡です。ここで間違って☗4三桂成とするのは、☖1一馬☗5二成桂☖同金右で後手陣が安定してしまい先手失敗。

【第2図】25手目☗6六香

第1図からの指し手①
☖6三同玉 ☗6六香(第2図)

テーマ図の☖5四歩が指された1号局の将棋で、先手番の渡辺明竜王は☗6六香(第2図)と打った。歩切れの後手は☖6四歩と打つ歩がないので玉をかわす一手。☗6六香が遠く☖1一馬の竜取りを防いでいる意味もあって、一石二鳥の王手になる。

【第3図】27手目☗7五角

第2図からの指し手①
☖7二玉 ☗7五角(第3図)

後手は☖7二玉とかわすのが最善でギリギリ耐えている。第3図で☗6一香成とすぐに金を取るのは、☖1一馬と竜を抜かれてしまう。なので先手は角を打って攻めの継続を図る。角の打ち場所としては、☗7五角の他に☗9六角や☗2三角もある。

【第4図】29手目☗2三歩

第3図からの指し手
☖5一飛 ☗2三歩(第4図)

☖5一飛は☗3一角成からの二枚替えを受けた手。この手では☖2一歩☗同竜としてから☖2二銀と受ける手もあって、どちらが良いかは難しい。

【第5図】27手目☗9六角

第2図からの指し手②
☖7二玉 ☗9六角(第5図)

第5図は、第3図の☗7五角に代えて☗9六角と打った局面。先手の直接的な狙いは、次の☗6三香成の王手飛車にある。後手は☖5一飛と引く手が最善と思われるが、先手からの攻めがかなり続く形。評価値を見ると先手に+100点ほどだが、実戦的には後手が勝てる気がしない定跡。

【第6図】25手目☗9六角

第1図からの指し手②
☖6三同玉 ☗9六角(第6図)

第6図の☗9六角は羽生善治王将が指した新手。結論を言うと☗6六香よりも良い手で、AIもこの局面では☗9六角が最善手と読む。☖7二玉と引いて逃げる手が見えるが、それには☗3一竜と切る手が痛打で後手陣が潰れている。後手は☖3一同金と取るしかないが、☗6三銀と打たれて王手飛車が掛かる。

【第7図】27手目☗6六香

第6図からの指し手①
☖7四歩 ☗6六香(第7図)

☗9六角と☖7四歩の交換を入れず単に香車を打つと、☖7二玉と引かれて意外と難しい。第7図で☖7二玉ならば、☗7四角と出る手が次の☗6三香成を見て厳しいという理屈だ。図で☖6四桂には☗7五歩、☖7三玉には☗6一香成で先手好調。

【第8図】30手目☖9五銀

第7図からの指し手
☖6六同馬 ☗同 歩
☖9五銀(第8図)

実戦で久保利明八段は☗6六同馬として急場を凌いだが、この手を境に形勢は先手有利に傾いた。図は先手陣の嫌味が消えたので、☗1三竜〜☗2四歩とゆっくり歩で攻めていけば良い。結論として、☗9六角に☖7四歩と受ける手があまり良くない可能性が高い。

【第9図】27手目☖5三玉

第6図からの指し手②
☖5三玉(第9図)

☗9六角に☖5三玉(第9図)と寄る手は、佐藤康光棋王がタイトル戦の舞台で指した新手。玉を逃げるのなら☖7二玉と引いた方が安定しているが、この場合☗3一竜〜☗6三銀の王手が厳しい。第9図の☖5三玉は☗6六香の王手の他に、この☗6三銀の王手を受けている意味もある。

【第10図】29手目☖7四桂

第9図からの指し手
☗6六香 ☖7四桂(第10図)

第10図までの手順は2008年の棋王戦第3局☗羽生善治二冠ー☖佐藤康光棋王戦の実戦の進行。実戦で羽生二冠は☗2二歩としているが、AIに検討させると☗7四同角を最善手と読む。桂馬を入手して☗4五桂と打つのが継続の狙いで、☖4二玉☗2二歩☖4四角...と進んで先手に+150点ほど振れる。

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