【将棋戦法ミニ事典】

【将棋戦法ミニ事典ー中飛車編vol.45】ゴキゲン中飛車対超速☗3七銀戦法⑤☖4二銀型+美濃囲い

【将棋戦法ミニ事典】では、昭和の定跡から最新戦法までさまざまな基本戦法を解説しています。本記事のテーマは『ゴキゲン中飛車対超速☗3七銀戦法』です。詳細は下の【テーマ図解説】をご覧ください。

【テーマ図】ゴキゲン中飛車対超速☗3七銀戦法〜☖4二銀型+美濃囲い

〜テーマ図解説〜

テーマ図はゴキゲン中飛車対超速☗3七銀戦法の定跡型のひとつ。ゴキゲン中飛車の流行後期にあたる2016年頃に流行した比較的新しい形である。

図では☗4五銀と出る手が定跡で、先手は次に☗3四銀と歩を取ることができる。後手は銀を引きつけておいて、大駒のさばきで勝負しようという狙いがある。

【第1図】21手目☗7七銀の局面

◎テーマ図からの指し手①
☗7七銀(第1図)

テーマ図では☗4五銀(第3図)と上がる手が主流になっていますが、☗7七銀(第1図)と上がる手も一応ある。先手は次に☗6六銀と上がり、二枚銀で中央を制圧する狙いは超速☗3七銀戦法の基本定跡なのですが、テーマ図の☖4二銀型に対しては第1図のように☗7七銀と上がる手は少ない。まずはその理由を見ていく。

【第2図】24手目☖5四銀の局面

◎第1図からの指し手
☖5三銀 ☗6六銀
☖5四銀(第2図)

テーマ図で先手が☗7七銀と上がると、後手は☖5三銀〜☖5四銀(第2図)としてくる。形勢はともかく、☖5四銀型が好形で振り飛車に不満はない。図から先手は☗2四歩〜☗3五歩と突き捨てて☗3五同銀と仕掛けるのが定跡。これで先手が悪いというわけではないのですが、好んで選ぶ変化ではないように思える。

【第3図】21手目☗4五銀の局面

◎テーマ図からの指し手②
☗4五銀(第3図)

第3図は、テーマ図で☗4五銀と上がった局面。厳密にはこの手が最善手で、☗7七銀(第1図)よりも先手の評価値が高い。図で後手は次に☗3四銀と歩を取られる手がわかっていても受ける手段がない。図で後手が☖3二銀型の場合、ここで☖4二角と引く余地があるのでこの仕掛けは成立しない。

【第4図】23手目☗3四銀の局面

◎第3図からの指し手
☖3二金 ☗3四銀(第4図)

第4図は先手が☗3四銀と歩を取った局面。タダで歩を取られた上に、角取りの先手にもなっているのでは後手がつらい気もするが、ここからカウンターで勝負する狙いだ。図で後手は①☖2二角と、②☖4四角の2つの逃げ場所がある。順番に見ていく。

【第5図】27手目☖2二角の局面

◎第4図からの指し手①
☖2二角 ☗2四歩
☖同 歩 ☗同 飛
☖5四飛(第5図)

まずは第4図で☖2二角(第5図)と下に逃げる手を見ていこう。☖2二角と角が動いたので先手は二筋の歩を切る。先手の棒銀が決まって先手好調を思わせる局面ですが、☖5四飛(第5図)と浮く手が☗2三銀成を間接的に受けている。

【第6図】30手目☗2三銀成の局面

◎第5図からの指し手
☗3五歩 ☖3三歩
☗2三銀成(第6図)

第5図での☗3五歩は、次に☗2八飛と引く準備の意味。3四の銀に紐を付けておき、飛車の動きを楽にした意味がある。後手としても☗2八飛〜☗2三銀成の攻めを喰らっては終了なので、☖3三歩と打って☗2三銀成を催促する。

【第7図】40手目☗5九金左の局面

◎第6図からの指し手
☖2四飛 ☗同成銀
☖2七飛 ☗2五飛
☖同飛成 ☗同成銀
☖2七飛 ☗2六飛
☖4七飛成 ☗5九金左(第7図)

第6図で飛車交換になった後、後手は2七の地点に飛車を連打していくのが定跡。先手の成銀にアタックして、自陣の脅威を遠ざける狙いがある。第7図まで進んで後手は竜を作れたましたが、ここからの後続手が見えづらい。先手からは次に☗4六歩と竜を捕獲する手があり、図で☖4四竜と逃げても今度は☗2四歩と垂らす手が厳しい。

【第8図】24手目☖4四角の局面

◎第4図からの指し手②
☖4四角(第8図)

第4図の☗3四銀に対して☖2二角と下に逃げるのは、先手が指せることがわかりました。次は☖4四角(第8図)と上に逃げる手を見ていきます。先手は先ほどの変化と同様、2筋の歩を交換するところから。

【第9図】30手目☖5一飛の局面

◎第8図からの指し手
☗2四歩 ☖同 歩
☗同 飛 ☖2二歩
☗2八飛 ☖5一飛(第9図)

先手は二筋の歩を交換して飛車を引き上げておきます。後手は☖4四角と上に逃げているので、今度は☖2二歩と低く受ける手がある。第9図の☖5一飛が味の良い手で、一段飛車の守備で二筋を間接的に受けている。図で☗2三歩と合わせる手には、☖同歩☗同銀成☖3一金☗2二歩☖3三桂で攻めが空を切る。

【第10図】35手目☗3五歩の局面

◎第9図からの指し手
☗3八金 ☖3三銀
☗4五銀 ☖6二角
☗3五歩(第10図)

第9図以下、☗2四歩から2筋の突破は後手の待ち受けるところなので、先手は腰を落として駒組みに戻る。☗3八金と上がる手が見えづらい好手で、図で☖3五角には☗3七金〜☗4六金と強く出る狙いがある。

【結論】先手有利の定跡

テーマ図の☖4二銀型は2016年頃に流行した形。当時は少し下火になっていたゴキゲン中飛車に新しい指し方が出たことで流行していたが、研究が進むと後手が苦しいことがわかった。

後手は第7図か第9図の周辺で勝負していくのだが、現代のAIで検討させるとどちらの変化も先手有利を示す。

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