【将棋戦法ミニ事典】

【将棋戦法ミニ事典ー中飛車編vol.43】ゴキゲン中飛車対超速☗3七銀戦法③☖3二金型急戦

【将棋戦法ミニ事典】では、昭和の定跡から最新戦法までさまざまな基本戦法を解説しています。本記事のテーマは『ゴキゲン中飛車対超速☗3七銀戦法』です。詳細は下の【テーマ図解説】をご覧ください。

【テーマ図】超速対ゴキゲン中飛車☖3二金型急戦

〜テーマ図解説〜

テーマ図はゴキゲン中飛車対超速☗3七銀戦法の定跡型のひとつです。超速が流行し始めた2010年に少し指された後すぐに下火になったが、後手に新手が発見されたことで2015年に復活。ところがまた少しだけ指されてすぐに下火になった。

テーマ図では☖5六歩と仕掛けずに☖8二玉〜☖7二銀と美濃囲いを完成させる指し方もある。その場合、先手にも☗6八銀〜☗7七銀の二手が入る。後手が急戦策に打って出た局面。先手陣が薄いうちに動いてポイントを挙げたい意図がある。

【第1図】22手目☖5六同飛の局面

◎テーマ図からの指し手
☗3三角成 ☖同 桂
☗5六歩 ☖同 飛(第1図)

第1図は、テーマ図から☗3三角成☖同桂☗5六歩☖同飛と進んだ局面です。テーマ図の☖5六歩に対しては、先手から角交換をして☗5六歩と手を戻しておきます。手順中☗3三角成を☖同金と取る変化も考えられるところで、その場合先手は☗6八銀〜☗7七銀〜☗6六銀と二枚銀を目指すことになる。

【第2図】23手目☗3五歩の局面

◎第1図からの指し手
☗3五歩(第2図)

第1図では☗3五歩(第2図)と桂頭を攻める手が定跡です。図で☖7六飛の王手には、☗7七桂と跳ねて受けるのが正着。

【第3図】26手目☖7六飛の局面

◎第2図からの指し手
☖3五同歩 ☗3四歩
☖7六飛(第3図)

桂馬を攻める☗3五歩(第2図)に対しては、後手は☖同歩と応じるのが良い。☗3四歩と打たれると桂馬が詰むので後手が困ったようですが、☖4五桂とタダのところに跳ねる手がある。

【第4図】28手目☖4五桂の局面

◎第3図からの指し手
☗7七桂 ☖4五桂(第5図)

☖7六飛の王手に対して、先手は桂馬を跳ねて受けるのが定跡です。☗7七角と打つ方が手堅い意味はあるのですが、これには☖5六角☗3三歩成☖4七角成の反撃が厳しいので注意する必要がある。

【第5図】29手目☗6八金の局面

◎第4図からの指し手
☗6八金(第5図)

☖4五桂には☗6八金と上がるのが定跡。この手を怠ってすぐに桂馬を取るのは、☖5五角が飛車桂両取りになり先手敗勢に陥る。7七の地点に利きを増やすことで、次こそ☗4五銀と桂馬を取る手を見ている。☗6八金では☗6八銀でも同じ意味ですが、金の方が評価値が少し高い。

【第6図】30手目☖3六歩の局面

◎第5図からの指し手①
☖3六歩(第6図)

第6図の☖3六歩は、テーマ図が指され始めた初期の頃の定跡です。図では次に☖3七歩成とできれば取られそうだった桂馬がさばけて後手十分なので、先手は☗4五銀と桂馬を取る一手。

【第7図】34手目☖1五角の局面

◎第6図からの指し手
☗4五銀 ☖3七歩成
☗同 桂 ☖1五角(第7図)

桂損の後手はゆっくりしていると勝負どころを失ってしまいます。そこで☖3七歩成と歩を成り捨てて、☖1五角(第8図)と端に角を打って技を掛けにいくのが定跡化されています。☖1五角の狙いは次に☖3七角成の桂取りにある。単純な攻めながら意外と受けが難しく、図で☗2九桂には☖3六歩と打つ手が厳しい追撃になる。

【第8図】35手目☗8八桂の局面

◎第7図からの指し手
☗8八桂(第8図)

第8図の☗8八桂は後手の攻めを催促した意味がある。図で飛車を縦に逃げるのは☖3六歩と打つ筋の迫力がなくなるので論外。よって☖3七角成☗7六桂☖2八馬と、飛車の取り合いになる。

【第9図】30手目☖3六角の局面

◎第5図からの指し手②
☖3六角(第9図)

第9図(☖3六角)は、第6図の☖3六歩に代わって登場した新手です。4五の桂馬に紐を付けておき、図では次に☖5六歩と垂らす狙いを秘めている。先手は歩切れなので☖5六歩と垂らされると☗5八歩と受ける歩がないのが痛い。☖5六歩〜☖5七歩成が間に合う前に手を作る手段を考える。

【第10図】羽生善治名人ー久保利明九段の将棋

◎第9図からの指し手
☗2四歩 ☖同 歩
☗3三歩成 ☖同 金
☗5三角(第10図)

第9図から第10図に至るまでの手順は、2015年の羽生善治名人ー久保利明九段戦(王将戦)の実戦の進行。羽生ー久保戦の将棋がそのまま定跡化されている。

2筋の突き捨ては絶妙のタイミングで、入るか入らないかは微妙なところ。AIの候補手を見ると、後手は☖2四同歩の他に☖5六歩と攻める手もあるようだ。実戦は☖同歩と応じたため、3筋の成り捨てから☗5三角(第10図)と急所に角を打つ手が決まった。

【結論】先手有利の定跡(先手期待勝率=60%)

本記事のテーマは、後手のゴキゲン中飛車に対して先手が超速☗3七銀戦法で対抗する定跡型。現在この定跡は先手良しと思われているため、後手が避けているというのが現状である。この定跡の終着点は第8図および第10図の局面。AIに形成判断を委ねると、どちらの局面も先手有利を示す。

-【将棋戦法ミニ事典】
-, ,