【将棋戦法ミニ事典】では、昭和の定跡から最新戦法までさまざまな基本戦法を解説しています。本記事のテーマは『ゴキゲン中飛車対超速☗3七銀戦法』です。詳細は下の【テーマ図解説】をご覧ください。
【テーマ図】ノーマル中飛車対☗4五歩早仕掛け

〜テーマ図解説〜
テーマ図は、後手の角道を止める中飛車に対して先手が☗4五歩と仕掛けた局面。昭和の時代に指されていた古い定跡で、大山康晴十五世名人や升田幸三九段の棋譜にもこの作戦は見られる。
テーマ図では☖3二金と☖5五歩が定跡とされている。現代では指されることがない、中飛車の古い定跡のひとつである。
【第1図】☖4五同歩の局面
◎テーマ図からの指し手①
☖4五同歩(第1図)

まず初めに、テーマ図の☗4五歩に☖同歩と取る応手を見ていきます。☖3二金と上がっていない形で☗4五歩を☖同歩と取るのは、2筋が手薄になるので基本的には疑問手となる。
【第2図】☖4六角の局面
◎第1図からの指し手
☗3三角成 ☖同 桂
☗2四歩 ☖4六角(第2図)

☖4五同歩には先手から角交換して☗2四歩と突く。これを☖2四同歩と応じるのは☗同飛で先手の飛車が軽い。なので後手は☖4六角(第2図)と反撃に転じます。図で☗3七桂なら☖2四角と取って後手十分。先手は☗2三歩成と攻め込み、以下☖2八角成☗3三とと駒を取り合って勝負することになる。
【第3図】☗3三との局面
◎第2図からの指し手
☗2三歩成 ☖2八角成
☗3三と(第3図)

お互いに駒を取り合って、駒割りは飛車と桂馬の交換で後手に分がある。ただし、銀取りの先手でと金が残っているのが大きい。第3図で☖1九馬☗4三と☖2二飛☗5三桂と直線的に攻め合うのは、先手の攻めが厳しい。後手はテーマ図で☖同歩と応じるのは良くないようだ。
【第4図】☖5五歩の局面
◎テーマ図からの指し手②
☖5五歩(第4図)

第4図は、テーマ図の☗4五歩に対して☖5五歩と突いた局面。☖5五歩は大駒を近づけて受ける手筋で、部分的な定跡とされています。
【第5図】☗3七桂の局面
◎第4図からの指し手
☗2四歩 ☖同 歩
☗5五角 ☖3二金
☗3七桂(第5図)

2筋の歩を突き捨てたのは、角交換になったときにスムーズに☗2四飛と走れるようにする下準備の意味。☗3七桂と跳ねて攻めの形は整いました。
【第6図】☗5七銀左の局面
◎第5図からの指し手
☖5四飛 ☗6八銀
☖7二銀 ☗5七銀左(第6図)

第6図までの手順中☖5四飛と浮いた手が升田幸三九段が実戦で指された手。先手は中央に金銀を集めて一局の将棋。
【第7図】☗4五歩の局面
◎テーマ図からの指し手②
☖3二金(第7図)

テーマ図の☗4五歩には☖3二金(第8図)と上がる手もある。ここに金を上がっておけば、3三の角がいなくなっても2筋の守りが堅い意味がある。
【第8図】☗3七桂の局面
◎第8図からの指し手
☗2四歩 ☖同 歩
☗4四歩 ☖同 銀
☗3七桂(第8図)

先手は4筋の歩を取り込んで☗3七桂と跳ねる。☗4五歩早仕掛けの部分的な定跡で、まず歩を突いて、次に桂馬の活用、銀の活用の順番で駒を動かしていきます。
【第9図】☗5七銀左の局面
◎第8図からの指し手
☖7二銀 ☗6八銀
☖4二飛 ☗5七銀左(第9図)

第9図は早仕掛けの小競り合いが一段落着いて、二時的な駒組みに移行している場面。先手は銀が前に出て行かないと手にならないので、左の銀を☗6八〜☗5七と上がっていく。第9図は一局の将棋。振り飛車には急戦が主流だった時代の古い定跡でした。