【将棋戦法ミニ事典】では、昭和の定跡から最新戦法までさまざまな基本戦法を解説しています。本記事のテーマは「ゴキゲン中飛車対☗5八金右超急戦」です。詳細は下の【テーマ図解説】をご覧ください。

〜テーマ図解説〜
テーマ図はゴキゲン中飛車対☗5八金右超急戦の定跡型のひとつ。超急戦の定跡では比較的新しい手で、公式戦の1号局は2013年と新しい。
テーマ図では☖2二銀打とする手が定跡となっている。
【第1図】24手目☖2二銀打
テーマ図からの指し手
☖2二銀打(第1図)

テーマ図の☗3三香は、次に☗3一香成を狙っている露骨な手。従来の定跡では香車は☗6六香と打つ筋が多かったが、☗3三香も有力だとわかった。☗3三香には☖2二銀打と手堅く受ける手が定跡。
【第2図】25手目☗3一香成

☖2二銀打(第1図)は竜取りにもなっているので、先手は☗3一香成(第2図)と銀を取る一手。第2図で☖1一銀と竜の方を取るのは、☗4一成香☖2二飛☗4五角で先手良し。☖2二飛のところ☖7二玉には、☗4二金と飛車を狙って先手が指せる。
【第3図】26手目☖3一同金

☗3一香成と取った第2図では、竜取りを残しつつ成香を取り払う☖3一同金(第3図)が正着。竜取りが残る先手は、一旦は☗1二竜と逃げておく。
【第4図】28手目☖1一香
第3図からの指し手
☗1二竜 ☖1一香(第4図)

後手は☖1一香と打って竜を捕獲するのが定跡。ここで他の手を指すと、☗2三歩と打たれて後手が困る。竜の逃げ場がなくなった先手は☗2二竜と銀を取る手が自然だが。
【第5図】29手目☗1一同竜
第4図からの指し手
☗1一同竜(第5図)

先手は☗1一同竜と、香車を取るのが正着。銀と香車なら価値の高い銀と差し違えたいが、☗2二竜には☖同飛と取り返す手が厳しく後手優勢の流れ。☗1一竜に☖同銀の局面は先手の駒損が大きいが、後手も☖1一銀の働きが悪いのでバランスが取れている。
【第6図】31手目☗6六香
第5図からの指し手
☖1一同銀 ☗6六香(第6図)

テーマ図の☗3三香以下、お互いに変化の余地はほとんどなく第6図まで進む。☗6六香(第6図)と打った局面で、後手は☖5四銀と打つ手が部分的な定跡だが、その銀は駒台ではなく1一の地点にある。とはいえ盤上の銀で☖7二銀と受けるのは☗4三桂成とされて後手がまずい。
【第7図】35手目☗6五歩
第7図からの指し手
☖6六同馬 ☗同 歩
☖4二金 ☗6五歩(第8図)

☗6六香に対するピッタリした受けがない後手は、やむなく☖同馬と切ることになる。急場を凌いだものの、☗6五歩(第7図)が盤上の歩を使って効率が良い。第7図では次に☗6四歩が厳しいので後手は☖5四歩と催促するが、構わず☗6四歩とされると後手が苦しい。
【第8図】41手目☗1八角
第7図からの指し手
☖5四歩 ☗6四歩
☖5五歩 ☗6三歩成
☖同 玉 ☗1八角(第8図)

後手は桂馬を取り切れたが、玉頭に歩が突き刺さっているのが気掛かり。☗1八角(第8図)と遠見の角を設置して好調。後手は☖5四香と受けるが、☗6五銀と利きを足して後手が苦しい。
【第9図】22手目☖5四銀
テーマ図の一手前で☖5四銀(第9図)

ここからはテーマ図周辺の変化を掘り下げていく。テーマ図は23手目の☗3三香の局面で、直前22手目の後手の指し手は☖9九馬。この☖9九馬に☗3三香以下の手順で後手が苦しいとなったので、☖9九馬を☖5四銀に代えたと言うのが第9図、最新型である。
【第10図】26手目☖3二銀
第9図からの指し手
☗7五角 ☖2一歩
☗同 竜 ☖3二銀(第10図)

第9図の☖5四銀型は超急戦の戦型では最新型。従来の定跡は長い間☖9九馬であったが、☗3三香が発見されて下火になったという歴史がある。☖5四銀の定跡は実戦例がそれほど多くはないので、定跡もあまり進んでいない。第10図までの手順は一例で、これからの将棋というよりない。