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【将棋戦法ミニ事典ー中飛車編vol.50】ゴキゲン中飛車ー超速封じの☖6二玉型

【将棋戦法ミニ事典】では、昭和の定跡から最新戦法までさまざまな基本戦法を解説しています。本記事のテーマは「ゴキゲン中飛車ー超速封じの☖6二玉型」です。詳細は下の【テーマ図解説】をご覧ください。

ポイント

テーマ図の☖6二玉は「超速封じ」と呼ばれる作戦です。通常は☖3三角と上がるところを☖6二玉と上がる後手の変化球。公式戦では2010年〜2011年に掛けて10局ほど指されていました。

図では☗2四歩と突いて2筋の歩を交換しにいくのが定跡。あっという間に終盤戦になる変化を含んでいるので、先手を持つなら研究必至の定跡でもある。

【第1図】超速封じには☗2四歩が最善手

テーマ図以下の指し手
☗2四歩(第1図)

テーマ図の☖6二玉は後手の変化球。元々は先手の超速を封じる目的で指されていた作戦で、☗2四歩を誘っている意味も含まれている。先手は☗2四歩と突くかそれ以外(☗7八玉、☗5八金右など)かで選択を求められる場面だが、僅差で☗2四歩と突く手が最善手と見られる。

【第2図】後手に主張がなく先手良し

第1図以下の指し手①
☖2四同歩 ☗同 飛
☖3二金 ☗7八玉 
☖7二玉 ☗5八金右
☖8二玉(第2図)

テーマ図以下☗2四歩☖同歩☗同飛に後手が☖3二金とすると、第2図またはそれに近い局面までは進む。形勢自体に大きな差はないが、後手に主張がないので面白くない。第2図の形勢は先手良し。評価値は先手に+200点ほど振れる。先手は穴熊を目指すなら☗6六歩、急戦志向なら☗6八銀が考えられる。

【第3図】☖5六歩の決戦策

第1図以下の指し手②
☖2四同歩 ☗同 飛
☖5六歩(第3図)

第1図以下☖3二金と大人しく受けるようでは後手が面白くない。なので☖5六歩(第3図)と突いてくる。第3図で☗5六同歩なら☖8八角成〜☖3五角で後手優勢。第3図では☗6六歩と突いて角交換を避け、局面を落ち着かせるのが最善の対応になる。

【第4図】下に逃げる☗4八銀が定跡だが...

第3図以下の指し手①
☗6六歩 ☖5七歩成
☗同 銀 ☖5六歩
☗4八銀(第4図)

第3図の☖5六歩には☗6六歩と突くのが定跡。以下☖5六歩のときに先手には☗4八銀(第4図)と下に逃げる手と、☗4六銀(第7図)と上に逃げる手がある。市販の定跡書には☗4八銀が解説されていて、公式戦の実戦例も☗4八銀が圧倒的に多い。ただしAIは最善手を☗4六銀と示す。

【第5図】一番激しい変化

第4図以下の指し手
☖1四歩 ☗4六歩
☖1三角 ☗2一飛成
☖4六角 ☗7八玉
☖5七歩成(第5図)

☖1四歩は次に☗1三角の準王手飛車の狙いで、先手はふわっと☗4六歩と突く手がうまい受け方。それでも後手が☖1三角と覗いてきたら、先手はここで☗2一飛成とギアを上げていく。以下は第5図までは一直線で進む。

【第6図】手裏剣の歩で先手有利

第5図以下の指し手
☗4二歩(第6図)

第6図は公式戦でも実戦例のある局面。後手の攻めが中々厳しいので先手苦戦に思えるが、☗4二歩(第6図)の手裏剣が急所で形勢は先手有利だ。第6図以下、先手は難しい判断を求められるので研究必至である!AIの評価値自体は先手に+500点近く振れる。

【第7図】上に逃げる☗4六銀も有力

第3図以下の指し手②
☗6六歩 ☖5七歩成
☗同 銀 ☖5六歩
☗4六銀(第7図)

第4図の☗4八銀では☗4六銀(第7図)と上に逃げる手も有力。2010年頃に将棋世界か何かで☗4六銀はダメ!みたいな記事を読んだ記憶があるが、AIの評価を見るとどうやらこちらが最善手らしい。ただし先に解説した☗4八銀型と比べると難解な変化が多い。

【第8図】先手は5七の地点が急所

第7図以下の指し手
☖4四歩 ☗5八金右
☖1四歩 ☗2八飛(第8図)

☗4八銀型(第4図)でも☗4六銀型(第8図)でも、基本的に☗2三飛成と竜を作る手はあまり良くない。5筋の攻防が急所なのに対して、竜を作るだけの「空成り」が一手の価値が低くぬるい意味がある。第8図では☖1三角も怖いが、☖4五歩や☖3三桂、ちょっとひねって☖2五歩なんて手もある。

【第9図】終盤戦の様相

第8図以下の指し手①
☖4五歩 ☗同 銀
☖1三角 ☗2四歩
☖2五歩(第9図)

この辺りからは一手のミスで形勢が入れ替わる可能性がある。形勢自体は先手がだいぶ良いが、難しい選択を迫られ続けるのは先手。まず第8図で☖4五歩☗同銀に☖1三角と覗く仕掛けだが、先手は☗2四歩と打つしかない。そこで☖2五歩(第9図)と怪しげな歩を打たれて先手が悩ましい。

ちなみに第9図での最善手は☗6七玉!のようで、他に☗4六歩や☗5三歩でも先手の良さは失われない。

【第10図】単に☖1三角の変化

第8図以下の指し手②
☖1三角 ☗2一飛成
☖4六角 ☗同 歩
☖5七銀(第10図)

第8図から単に☖1三角と覗く手には、今度は☗2一飛成と飛び込む。☖5七銀と打ち込まれた第10図は5筋を破られるのが確定し、先手を持って勝てる気がしないのだが評価値は先手に500点ほど振れる。

【結論】先手が怖い思いをする定跡!

テーマ図で☗2四歩を実行すると激しい将棋になる。その場合は第6図や第8図で勝負することになるが、研究不足だと逆に後手が勝ちやすいと思う。評価値的には先手有利でも、実戦的には後手が勝ちやすそうに見える。

と言うことで、曖昧な知識で難解な変化に突っ込むのなら、そもそもテーマ図で☗2四歩といかず、一旦☗7八玉〜☗6八銀(上図)と自陣を整備しておく手がおすすめです。実際問題テーマ図で慌てて☗2四歩といく必要はないのです!

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