【将棋戦法ミニ事典】では、昭和や平成の時代に指されていた古い定跡から令和の最新戦法までさまざまな基本戦法を解説しています。本記事のテーマは「ゴキゲン中飛車」です。詳細は下の【テーマ図解説】をご覧ください。

テーマ図解説
テーマ図は1991年〜1996年まで公式戦でよく指されていた手。ゴキゲン中飛車に対していきなり☗2四歩と交換しにいくとどうなるのか?と言うのが本記事のテーマだ。テーマ図の仕掛けが成立するとなるとゴキゲン中飛車は戦法自体が成り立たなくなるため根幹に関わる事態だが、後手からうまいカウンターがある。
【第1図】☖3三角のカウンターで後手良し
テーマ図以下の指し手①
☖2四同歩 ☗同 飛
☖8八角成 ☗同 銀
☖3三角(第1図)

テーマ図の仕掛けには、☖8八角成〜☖3三角(第1図)と反撃に転じるのが定跡化されています。第1図で先手は☗2八飛と引き上げるしかなく、☗2一飛成と踏み込むのは☖8八角成☗7七角☖8九馬☗1一角成☖3二銀で後手有利になる。
【第2図】☖2六歩の垂らしがうまい手
第1図以下の指し手
☗2八飛 ☖2六歩(第2図)

第1図で☗2一飛成と踏み込むのは暴発。冷静に☗2八飛と引き上げて銀取りを受けるのが正着である。これで局面が落ち着けば先手は一歩交換できて一応満足なのですが、当然そうはなりません。怪しげに☖2六歩(第2図)と垂らす手が好手で、先手はこの歩を取ることができない。
【第3図】向かい飛車に転じて後手ペース
第2図以下の指し手①
☗7七銀 ☖2二飛
☗3八金 ☖4二銀(第3図)

第2図の☖2六歩に☗同飛は☖8八角成で先手不利。放っておいても次に☖2七歩成と成り捨てる手があるので、先手は☗7七銀と上がって銀に紐を付けておきます。☖2二飛と向かい飛車に転じて後手は飛車が軽い形。先手としては2筋で動いた結果がこれでは不満である。
【第4図】棒金の狙いを阻止して後手良し
第3図以下の指し手
☗2七歩 ☖同歩成
☗同 金 ☖4四角(第4図)

☗2七歩は2筋の拠点を消した意味。このままだと☖7七角成〜☖2七銀と強硬手段に打って出られる危険があった。☖2七同歩成☗同金の局面は部分的には「棒金」の形で先手は2筋からの逆襲を試みるが、最後の☖4四角が鋭い手で棒金を足止めされて先手苦戦。
【第5図】第2図で☗7七桂の変化
第2図以下の指し手②
☗7七桂 ☖2二飛
☗3八銀(第5図)

第5図では先手の受け方のパターンを変えて見る。第3図と比べて見ると、☗7七銀が→☗7七桂に代わり、☗3八金が→☗3八銀に代わっている。実は30年前の当初から、☗7七銀型は☖7七角成と切られる筋があって危ない、と言う認識があったのです。☗7七桂型であればその心配はいらないと言うわけだ。
【第6図】お互いに玉を囲って一局
第5図以下の指し手
☖4二銀 ☗6八玉
☖6二玉 ☗7八玉
☖7二玉(第6図)

第5図以下、お互いに玉を囲って一局の将棋。先手から☗2七歩と合わせて動く筋はありますが、☖同歩成☗同銀☖4四角と対応して後手が十分だ。自然に駒組みを進めると、2筋の拠点が大きく後手良し。
【第7図】第2図以下☗4五角の変化
第2図以下の指し手③
☗7七銀 ☖2二飛
☗4五角(第7図)

第7図は☗3八金に代えて☗4五角と打った局面。☖2七歩成を受けつつ、次に☗2三歩☖同飛☗3四角の反撃も見た攻防の一手である。この変化であれば後手から☖7七角成〜☖2七銀の強襲は☗5八飛と逃げられて空振りになる。第7図からはお互いに玉を囲いあって一局の将棋。
【第8図】新しい指し方
テーマ図以下の指し手②
☖2四同歩 ☗同 飛
☖8八角成 ☗同 銀
☖2二銀(第8図)

テーマ図以下、☖8八角成〜☖3三角(第1図)の反撃も有力でしたが後手にはもうひとつ有力な指し方があります。それが☖2二銀(第8図)と上がる手です。一見すると意味が見えにくい手ですが、狙いは単純この手は次に☖3五角と打つ手を狙っている。
【第9図】今度は☖2七歩と叩く
第8図以下の指し手
☗2八飛 ☖2七歩
☗1八飛 ☖3三銀
☗3八金 ☖2二飛(第9図)

☖3五角の狙いを受けて先手は☗2八飛と引き上げるのですが、この場合は☖2七歩と飛車を直接叩く手が急所になる。☖2七歩を☗同飛と取るのは、☖4五角で馬を作られるので先手は飛車を逃げるしかありませんが、やはり☖2二飛と回られて後手の飛車が軽い形。
【第10図】先手にも主張はあるが...
第9図以下の指し手
☗6五角(第10図)

飛車が窮屈で金銀は左右にバラバラ。先手陣はかなりの愚形であるが、☗6五角(第10図)と打つのが感触のいい手である。第10図以下は☖7二銀☗5四角☖5二金左☗2七角と流れるように歩を回収していけば、次に☗2八飛と戻して飛車の活用が見込める。