将棋ファンのみなさんどうも!先手中飛車に苦しめられている編集部のさめはだです!
中飛車に対して私は基本的に急戦派なのですが、なにせ自玉が薄いのなんの...。相手の美濃囲いが要塞に見えます。
それはそうと今回は中飛車について色々とまとめました!振り飛車党の人も居飛車党の人も、観る将の人も参考になればと思います!
【Chapter .01】初心者必見!中飛車の基礎知識!
【中飛車の基礎知識】先手中飛車とは?

まずは先手番での中飛車「先手中飛車」について簡単に説明をしておきましょう。現代の将棋界で『先手中飛車』と呼ばれる戦型は、一般的に角道を止めない中飛車全般を指します。序盤の駒組みがわかりやすく、攻めが決まった時の破壊力は抜群。振り飛車党のエース戦法として高い人気を誇り、現在でも振り飛車の中では1、2を争う人気戦法なのです。
【中飛車の基礎知識】ゴキゲン中飛車とは?

近藤正和七段創案の『ゴキゲン中飛車戦法』。美濃囲いの堅さと低い陣形を頼りに、大駒をさばいて勝負する戦いが魅力的。後手番でありながら主導権を握れる振り飛車として、プロアマ問わず一時期大流行した戦法です。現在は居飛車側に有力な対策がいくつかあり、ゴキゲン中飛車党に苦労が多い状況が続いています。
【Chapter.02】中飛車の歴史を知ろう!
ツノ銀中飛車の歴史
【ツノ銀中飛車の歴史(1)】ツノ銀中飛車の誕生(1950年)

中飛車戦法はかつて、下手の中飛車と軽視された素人の戦法でした。木村義雄十四世名人の時代は相掛かりの将棋が中心で、中飛車はおろか振り飛車自体が指されていなかったのです。プロは指さないアマチュアが楽しむための戦法。プロには通用しない戦法。これまで評価が低かった中飛車をプロでも通用する『ツノ銀中飛車』へと改良したのが松田茂役九段です。
【ツノ銀中飛車の歴史(2)】二大定跡のひとつ☗4六金戦法(1966年)

1966年5月18日の名人戦第4局☗升田幸三九段ー☖大山康晴名人戦。大山名人得意の中飛車に対して、先手の作戦は現代ではまず見かけることがない『☗4六金戦法』と呼ばれる急戦策。加藤次郎名誉九段創案の作戦で、昭和時代の中飛車対策はこの☗4六金戦法と☗3八飛戦法が二大定跡であった。
【ツノ銀中飛車の歴史(3)】二大定跡のひとつ加藤流☗3八飛戦法(1968年)

1968年12月23日の十段戦第6局☗加藤一二三八段ー☖大山康晴十段戦。当時無敵を誇っていた大山中飛車に対して、先手の作戦は加藤八段が得意としていた袖飛車急戦策。守りの金を前線に繰り出していく☗4六金戦法とは異なり、こちらは金銀四枚で中央を守るため攻撃力は低め。余談だが先手の囲いには『菱囲い』と言う名がある。
【ツノ銀中飛車の歴史(4)】玉頭位取り戦法(1971年)

1971年7月26日の王位戦第1局☗中原誠棋聖ー☖大山康晴王位戦。1970年代に入ると対振り飛車戦において居飛車側の作戦選択に変化が出始める。これまでは急戦系の作戦が主流だったのだが、この頃から玉頭位取りや5筋位取り、美濃囲い、居飛車穴熊などの持久戦系の作戦が増え始めたのだ。
【ツノ銀中飛車の歴史(5)】居飛車穴熊(1986年)

1980年代になると、振り飛車の対抗策として居飛車穴熊が流行し始めます。これまでツノ銀中飛車に対して居飛車は急戦策が主流で、これには中飛車も互角に渡り合っていました。しかし、穴熊に対しては玉の堅さで劣る中飛車が苦戦を強いられ、ツノ銀中飛車は衰退の一途を辿る。
ゴキゲン中飛車の歴史
【中飛車の歴史(1)】新戦法ゴキゲン中飛車の登場(1996年)

ツノ銀中飛車の衰退から数年が経った1996年、主力戦法を失った中飛車業界に新戦法『ゴキゲン中飛車』が誕生します。創始者は同年10月にプロデビューしたばかりの近藤正和四段(当時)。いつもニコニコしている性格から『ゴキゲン中飛車』の名が付いた。数年後にはゴキゲン中飛車の大流行が訪れ、一大旋風を巻き起こす事になる。
【中飛車の歴史(2)】ゴキ中対策の特効薬『丸山ワクチン』(1997年)

近藤流のゴキゲン中飛車に対して、居飛車の最初の対策が『丸山ワクチン』と呼ばれる角交換をする指し方です。丸山忠久九段が最初に指し始め、1997年〜1998年の間に近藤四段のゴキゲン中飛車を相手に3連勝を飾ったことで注目を浴びた。
【中飛車の歴史(3)】超急戦をめぐる研究合戦(2006年)

2006年4月25日の名人戦第2局☗森内俊之名人ー☖谷川浩司九段戦。ゴキゲン中飛車の定跡で最も激しくなるのが超急戦と呼ばれる戦型。2筋の歩を交換したい居飛車側と、その動きを咎めようとする振り飛車側の主張がぶつかり合う戦いになる。2000年台には多くの実戦が積み重ねられ、中には詰みまで研究されている変化もあると言う。
【中飛車の歴史(4)】超速の原型となる将棋(2008年)

2008年8月20日の順位戦A級☗郷田真隆九段ー☖佐藤康光棋王戦。超速の定跡型ではよく見かける図面だが、この時代にはまだ超速は誕生していない。先手の考慮時間を見ると☗3七銀に24分、☗4六銀に60分、☗6六銀にも78分を注ぎ込んでおり、実戦での深い読みの上で辿り着いた局面である。実戦は71手で先手が快勝。
【中飛車の歴史(5)】☗7八金型持久戦の再評価(2009年)

2009年3月8日の棋王戦☗佐藤康光棋王ー☖久保利明八段戦。ゴキゲン中飛車対策としては初期の頃に指されていた☗7八金型だが、この年になぜか再評価されて人気が急騰。持久戦策として優秀だったはずの丸山ワクチンの勝率が悪くなったことが理由で、同じ持久戦策としてこの☗7八金型に白羽の矢が立ったと言うわけである。
【中飛車の歴史(6)】ゴキゲン中飛車に居飛車穴熊(2009年)

2009年5月8日の竜王戦☗豊島将之五段ー☖戸辺誠五段戦。ゴキゲン中飛車に対して居飛車穴熊に組むのは作戦負け、の定説を覆したのがこの将棋です。以降はゴキゲン中飛車対策として、居飛車穴熊は有力な作戦と認識されるようになります。
【中飛車の歴史(7)】超速☗3七銀戦法の登場(2009年)

2009年12月25日の☗深浦康市王位ー☖佐藤和俊五段戦(朝日杯)で、超速☗3七銀戦法が公式戦に初登場します。当時奨励会の三段に在籍していた星野良生五段が創案した作戦で、公式戦に登場するや否や、その優秀さが認められ瞬く間にゴキゲン中飛車対策のエース戦法へと昇格しました。後手番で勝率が5割を大きく超える振り飛車は、前にも後にもこのゴキゲン中飛車だけ。居飛車側はその対策に試行錯誤を繰り返した結果、辿り着いたのが超速
【中飛車の歴史(8)】☖ゴキゲン中飛車の最新型(2016年)

超速に押されて苦しんでいる☖ゴキゲン中飛車にも新しい指し方が登場します。図の☖4二銀型は以前からあった指し方だが、☗4五銀〜☗3四銀と歩を取られることに抵抗があるため人気がありませんでした。この作戦が見直される契機になったのが菅井竜也八段の工夫によるもので、2016年頃から後手を持って指す棋士が増えた。
先手中飛車の歴史
【先手中飛車の歴史(1)】名人戦に見る羽生四冠王の中飛車(1994年)

上の図は1994年の名人戦第1局☗羽生善治四冠(23歳)ー☖米長邦雄名人(50歳)の将棋です。この時代の先手中飛車はかなり珍しい戦型で、ましてや名人戦の大舞台での登場となると更に異例。後手番の米長名人の☖4三銀☖6三銀型の布陣は、現代の定跡書にはほとんど書かれていない旧型。型としては昔からある定跡型のようで、1950年代の大山康晴十五世名人の棋譜にも見られる。この構えに対して5筋から攻めるのは難しいため、先手は☗6八飛や☗7八飛と転回して別のところに争点を求めて動くことになる。
【先手中飛車の歴史(2)】戦略としての相振り三間飛車(2007年)

上の図は2007年のA級順位戦☗久保利明八段ー☖郷田真隆九段の将棋。初手☗5六歩からスタートする先手中飛車には、相振り飛車の三間飛車が有力なことは昔から定跡とされていました。郷田九段は純粋な居飛車党で、相振り飛車の戦いには不慣れなはず。相手の土俵であるにも関わらず採用すると言うことは、それだけ相性が抜群の作戦であると言う証拠なのである。
そもそも基本的な考え方として、相振り飛車の戦型では、向かい飛車、三間飛車、四間飛車、中飛車の順に飛車の振る位置が有力と考えられている。なぜ中飛車がダメなのかと言うと、金無双や美濃囲いに対して5筋を攻めても敵玉に遠いのだ。もうひとつ、図では右側に玉を囲った時に5八の飛車が邪魔で☗5八金左と上がれないデメリットがある。
【先手中飛車の歴史(3)】2000年代の主流定跡(2009年)

2009年2月24日の王将戦第5局☗深浦康市王位ー☖羽生善治王将戦。この時代はまだ先手中飛車は流行戦型ではなく、振り飛車党の中でも二番手、三番手の戦法。後手番の対策は☖6四銀型急戦が主流で、図のような将棋が多かった。
先手中飛車の欠陥はまず、☗6六銀と上がった瞬間☖8六歩から後手に一歩交換を許してしまう点。そして☗5五歩☖同歩☗同銀と中央突破を狙って動いた瞬間、8筋で渡した歩を使って☖5八歩☗同飛☖6九角と言うカウンターがある。現在では中飛車側に打開策が発見されているが、この当時は☖6四銀型が難敵だったのだ。
【先手中飛車の歴史(4)】先手中飛車の実戦数が増加(2010年)

公式戦での先手中飛車の採用数は、2010年頃から増加傾向にある。その理由は、初手から☗7六歩☖3四歩☗7五歩とする☖石田流三間飛車の流行が関係しているようだ。これがどういう理屈なのかといえばこうだ。
①先手石田流が流行する→②石田流が高い勝率を上げる→③後手は対策に悩む→④2手目に☖8四歩と突いて石田流を封じる作戦が増加→⑤石田流にできない先手は、☗7六歩☖8四歩には☗5六歩とする先手中飛車をエース戦法に繰り上げた、と言う流れである。☗7六歩に2手目☖8四歩と突かれると石田流にはできないが、それなら☗5六歩と突いて先手中飛車を採用すれば良い、と発想を切り替えたのが始まり。
【先手中飛車の歴史(5)】先手中飛車対居飛車穴熊(2011年)

2011年1月6日の棋王戦挑戦者決定戦☗広瀬章人王位ー☖渡辺明竜王戦。先手中飛車をエース戦法として採用するのは良いが、まず初めにぶち当たるのが居飛車穴熊である。穴熊に組まれない振り飛車じゃなければ今の時代はダメ。ゴキゲン中飛車があれほど大流行した理由もココにある。
先手中飛車は穴熊と互角以上に戦えるのだろうか。後手が居飛車穴熊を目指すとこのような図面になることが多く、類型を含めて実戦例も多い。先手は☗4五歩と仕掛けるのが定跡で、☖同歩でも☖7五歩でも先手は☗5五歩と5筋も絡めて戦いを起こす。
【中飛車の歴史(6)】先手中飛車対一直線穴熊(2012年)

2012年6月18日の順位戦A級☗谷川浩司九段ー☖渡辺明竜王戦。後手の作戦は2011年に登場した新しい穴熊の組み方で、先手に5筋の位を取らせて穴熊に組む『一直線穴熊』と呼ばれる作戦。先手の陣形がのびのびとしているため従来は後手が作戦負けと考えられていたが、堅さだけを主張に後手が戦えることがわかった。
居飛車穴熊に堅さで対抗するため、先手は☗1八香から穴熊を目指すのが主流。この作戦が出始めた初期の頃はここで☗3八飛と回り角頭を攻めていく指し方が多かったが、思ったほど成果が出ないことが判明。改良案として☗5六飛と浮き飛車にして戦う指し方が現れて現在でもこちらの指し方が主流。
【中飛車の歴史(7)】中飛車左穴熊の登場(2014年)

初手☗5六歩から始まる先手中飛車は、三間飛車に相性が悪いというのが昔からの定説です。定跡が整備されているわけではありませんが、単純な相性だけで三間飛車を採用する居飛車党も多いぐらいです。ところが2014年に登場した相振り三間飛車対策の居飛車穴熊が優秀と判明。これにより中飛車側も十分に戦えることがわかってきました。
中飛車左穴熊の有用性は、相振り飛車の三間飛車の採用数を減少させた。これで振り飛車党は初手☗5六歩を堂々と指せるようになった。2000年代には年間50局〜60局程度だった初手☗5六歩の採用数は3倍〜4倍に増加。先手中飛車の爆発的な流行につながる。
【中飛車の歴史(8)】後手居合抜き急戦(2016年)

2016年頃に登場した先手中飛車対策の新しい基本図。先手番で優秀な超速を後手番に移植した作戦で、角道を開けていないところがポイント。角道を開けずに攻めることで、角交換をさせずに角を目標に攻めることが可能になるという発想。
【中飛車の歴史(9)】☖二枚銀急戦(2018年)

2018年7月4日の王位戦第1局☗菅井竜也王位ー☖豊島将之八段戦。先手中飛車対二枚銀急戦の定跡型で、先手は図から☗4五歩☖同銀☗7五歩☖8四飛☗7四歩☖同飛☗5三歩成☖同金☗7五銀と仕掛けた。仕掛けの成否は難しいが、先手が一方的に攻勢を取れる戦いなので先手としては悪くはない。結果も先手の菅井王位が勝っている。
【先手中飛車の歴史(10)】☖角道不突左美濃の流行(2018年)

2018年8月1日の王位戦第3局☗菅井竜也王位ー☖豊島将之棋聖戦。先手の菅井王位は第1局に引き続き、得意の先手中飛車を採用。対する豊島棋聖は本局では堅さを重視する左美濃に構えた。2017年に登場した『角道不突左美濃』と呼ばれる流行の作戦である。
この作戦の後手の工夫は角道をギリギリまで保留している点。先手からの角交換を拒否する意味で、攻撃目標である角をさばかせない意味がある。自玉周辺の堅さ比べではスムーズに美濃囲いに組めない先手が不利。
【Chapter.03】覚えておきたい先手中飛車の主要テーマ10選!

先手中飛車に対する居飛車側の有力な作戦はさまざまで、大きく分類すると次の四種類に分類できます。①☖5四歩型、②二枚銀急戦、③左美濃、④一直線穴熊。他にもいくつかの作戦があるので細かく見ていきましょう。
【☗先手中飛車(1)】かつての主流定跡「☖6四銀急戦」

図は先手中飛車に対して後手から角交換をして☖6四銀型に組む急戦策です。最近の中飛車対策では中飛車側に5筋の位を取らせる作戦が主流になっているので、見かける機会は減ったと感じる。2000年代後半の先手中飛車対策では主流だった指し方なのだが、現在でもそれなりに有力ではある。
【☗先手中飛車(2)】先手中飛車流行以前の主流「☖5三銀型」

図は1990年代に多く指されていた☖5三銀型の基本形。5筋のパワーバランスが☗5六歩ー☖5四歩型なので、いつでも角交換が可能な形になっている。後手はこの後☖4四歩〜☖4三金〜☖3三角と駒組みを進めて穴熊を目指すことになる。他にも図では☖4二金寄、☖4二金上、☖4二銀上、☖2四歩などの指し手がある。
【☗先手中飛車(3)】前田裕司八段創案の「前田流」

後手の☖5四歩型に対して先手から角交換する指し方も有力な作戦。2012年頃に流行り出した作戦で、前田祐司八段が最初に指し始めたことから「前田流」と呼ばれる指し方である。先手は一度☗7七角と上がった角をさらに自ら代えにいくので、実質二手損の作戦。だがそれ以上にメリットのある作戦だと認められている。
【☗先手中飛車(4)】後手番でも超速は有力「後手超速」

先手番で有力な超速☗3七銀戦法を後手番に移植した作戦。普通に「後手超速」とも呼ばれるが、通称「後速(こうそく)」とも呼ばれる。図で後手は☖3三銀〜☖4四銀と二枚目の銀を繰り出す指し方が有力で、☖ゴキゲン中飛車対超速☗3七銀戦法の盤面をひっくり返したような戦いになる。
【☗先手中飛車(5)】後手超速に守備重視の☗6六歩型

後手番の超速☖7三銀急戦に対しては、先手は☗6六歩〜☗6七銀型で対抗する指し方も有力です。これに後手は☖7五歩☗同歩と突き捨てを入れてから☖6四銀と繰り出すのが有力な仕掛けで、後手が先攻する将棋になる。
【☗先手中飛車(6)】後手超速に機動力重視の☗5六銀型

後手超速に対しては、先手が☗5六銀型に組む指し方もある。☗6六銀型がよく見る定跡型だが、先手番なので攻撃的に☗5六銀と構えては見たい。この形からなら次に☗4五銀と出る余地がある分機動力には優れている。ただし角頭が薄く☖7五歩の仕掛けが気になる。
【☗先手中飛車(7)】持久戦を目指す「角道不突き左美濃」

お手軽で頑丈な美濃囲いは先手中飛車に対しても有力です。居飛車側の駒組みには二つのポイントがあり①☖6四銀を急ぐ。②角道はギリギリまで開けない。の2つです。中飛車側は図の☖6六銀型の他に、☖6六歩・☖6七銀型も有力。
【☗先手中飛車(8)】ガチガチに固めて勝負!「一直線穴熊」

先手中飛車に対して居飛車が穴熊を目指す作戦もある。昔は中飛車に穴熊はダメと言われていたが、2009年頃に有力だと判明。それ以降は居飛車側のレパートリーの一つに加わった。急戦系の将棋はどうしても自玉が薄くなりがちなので勝ちづらい、という方は穴熊に組もう!
【☗先手中飛車(9)】相性抜群の「相振り三間飛車」

初手に☗5六歩と突く中飛車宣言には、三間飛車に振って相振り飛車の将棋にする指し方も有力です。相振り飛車の戦型において中飛車は最弱という単純な相性だけで有力視されていて、相振り飛車を指すのに抵抗がない人にとってはかなり有力。
【☗先手中飛車(10)】相振り三間飛車に左穴熊

先手中飛車に対して後手が相振り三間飛車にしてきた場合、先手は左側に玉を動かして居飛車穴熊を目指す「中飛車左穴熊」と呼ばれる指し方が優秀です。一時はこれで中飛車側が盛り返しましたが、現在は後手にも有力な「中飛車左穴熊対策」が出てきて十分戦えることがわかってきました。
【Chapter.04】覚えておきたい☖ゴキゲン中飛車の主要テーマ13選!

ゴキゲン中飛車の戦型では、先手の指し方によっては序盤から激しい戦いになる定跡も多い。図で☗5八金右と上がる『超急戦』と呼ばれる定跡は有名ですが、図ですぐに☗2四歩と突かれた場合の指し方は必ず覚えておきたい基礎知識のひとつです。
【☖ゴキゲン中飛車(1)】超速対☖3二金(美濃囲い)型

図はゴキゲン中飛車対超速☗3七銀戦法の定跡型のひとつです。ゴキゲン中飛車と☖3二金型の組み合わせは軽いさばきを狙う指し方で、☗4五銀と出てくる仕掛けに強い意味がある。図で角頭を狙う☗4五銀の仕掛けには☖2二角☗3四銀☖5六歩とカウンターが決まって後手指せる。
【☖ゴキゲン中飛車(2)】超速対☖3二銀(美濃囲い)型

図はゴキゲン中飛車対超速☗3七銀戦法の定跡型のひとつ。ゴキゲン中飛車と☖3二銀型の組み合わせは、金銀の連携が良いバランスの取れた好形です。ただし、銀を上がるのなら☖3二銀ではなく☖4二銀の方が有力。図の☖3二銀型は2筋が薄い欠点があり、定跡通りに進めると先手有利になる。
【☖ゴキゲン中飛車(3)】超速対☖3二金型急戦

ゴキゲン中飛車側はいつでも☖5六歩と突いて歩の交換ができる権利を持っている。歩を突くタイミングが早すぎると決戦を覚悟する必要があり、遅すぎると5五の位が負担になる。図は後手陣が☖7二玉型で仕掛ける急戦策で実戦例も多い。美濃囲いが未完成で不安は残るが、先手陣も薄いので勝負と打って出る。
【☖ゴキゲン中飛車(4)】超速対☖3二銀型急戦

ゴキゲン中飛車側が☖7二玉型で急戦を仕掛ける将棋では、図の☖3二銀型の方が実戦例が圧倒的に多い。その理由としては、☗3三角成に☖同銀と形よく応じられるのためである。タイトル戦でも指されている有力な定跡で、公式戦の実戦例は70局を超える。
【☖ゴキゲン中飛車(5)】超速対☖3二金・☖4二銀型急戦

超速に対してゴキゲン中飛車側が☖5六歩と動くタイミングは様々ある。図は後手が☖3二金と☖4二銀の二手を優先した駒組みで工夫が見て取れる。後手陣は左辺の金銀が上部に手厚い形で隙がない。ただし、先手陣にも☗6八銀の一手が入っているので上部への不安が少なくなっている。
【☖ゴキゲン中飛車(6)】超速対銀対抗☖4四銀型

超速の素早い銀の動きに対抗して中飛車側が☖4四銀型を急ぐ形を「銀対抗」と呼びます。後手は☖4四銀型を急いだ効果で上部の守備力が高い。ただしその反面、角銀の配置が重く自分から動けないところが難点でもある。図で先手は☗7八銀〜☗7七銀の急戦策が主流で、穴熊に組む指し方は少数派。
【☖ゴキゲン中飛車(7)】超速対菅井流☖4四歩型

超速の骨子である☗3七銀の出だしに対して☖4四歩と突くのが「菅井流」と呼ばれる作戦です。菅井竜也八段が創案した超速対策で、2011年〜2012年頃によく指されていた形です。図で☗4六銀と出る手には☖4五歩と突く。銀を呼び込んでカウンターを狙うのが菅井流の主眼となる。
【☖ゴキゲン中飛車(8)】超速対☖4二銀型

ゴキゲン中飛車☖4二銀型は、先手の銀を呼び込んでカウンターを狙う指し方です。☖3二銀型との違いは次に☖5三銀〜☖5四銀と中央に活用できるところにある。図で先手は☗7七銀と二枚銀を目指す指し方や☗5八金右と固める手もあるが、いきなり☗4五銀と出る仕掛けが有力とされている。
【☖ゴキゲン中飛車(9)】ゴキ中退治の特効薬「丸山ワクチン」

ゴキゲン中飛車に対して、居飛車から角交換を挑むのが「丸山ワクチン」と呼ばれる定跡です。丸山忠久九段が多用していたことからこの名で呼ばれています。
ゴキ中対策として人気の超速や、研究将棋になりやすい超急戦と比べると、丸山ワクチンは持久戦系の作戦に分類される。美濃囲いや銀冠、ダイヤモンド美濃を目指すことで、後手よりも堅陣に組めるメリットがある。
【☖ゴキゲン中飛車(10)】即終盤の激戦定跡「☗5八金右超急戦」

ゴキゲン中飛車の定跡の中で、最も激しくなるのが「超急戦」と呼ばれる定跡です。この戦型は初手から30手前後で終盤戦になる変化が多く、中には詰みまで研究されている変化もある。
激しい将棋が好きな居飛車党にはおすすめの作戦だが、知識の差が直接勝敗に繋がる可能性が高い。
【☖ゴキゲン中飛車(11)】意外と有力な愚形「☗7八金型」

振り飛車に対して、居飛車が早めに☗7八金と上がるのは「形を決めすぎて損」と言われますが、ゴキゲン中飛車に対しては意外と有力と思われていた時期がありました。☗7八金の意味を一言で言うと「次は2筋の歩を交換するぞ!」と言う狙いである。
【☖ゴキゲン中飛車(12)】変幻自在の変化球『千鳥銀作戦』

☗3七銀〜☗4六銀のルートで銀を出るのが超速。それに対して☗4七銀〜☗3六銀(図)と繰り出すのが「千鳥銀戦法」と呼ばれる作戦です。狙いは単純、次に☗4五銀〜☗3四銀と角を攻撃目標とします。自玉が薄くなりがちで、指しこなすのが難しいのが欠点。
【☖ゴキゲン中飛車(13)】堅さこそ正義!「一直線穴熊」

ゴキゲン中飛車には超速が優秀だとは聞いてるけど、玉が薄くて勝ちづらい...。そんな時は穴熊に組めば解決じゃん!四間飛車の藤井システムや三間飛車のトマホークなどの強襲の心配がないので、真っ直ぐに穴熊に組んでいける。通称「一直線穴熊」。☗8八銀を後回しにしているのがポイントで、場合によっては☗8八角と引く余地を残している。
【Chapter.05】その他の中飛車定跡
【その他の中飛車(1)】初心者用戦法「原始中飛車」

図は後手番の原始中飛車。駒組みのポイントは①☖5二飛と中飛車に振る。②居玉のまま銀を繰り出す。の2点のみ!2筋の守りは薄く、狙いは単調。将棋の戦法名で「原始」の名が付く戦法は「原始中飛車」ともう一つ「原始棒銀」がある。初心者でも駒組みが簡単にできる「原始的な作戦」と言う意味があると思われる。
【その他の中飛車(2)】松茂流「ツノ銀中飛車」

ツノ銀中飛車は江戸時代の棋譜にも見られる古典戦法。先手番なら☗6七銀と☗4七銀の二枚銀が牛のツノに見える(?)との理由から「ツノ銀中飛車」と名が付けられた。戦後昭和20年代に松田茂役九段が愛用していた作戦で、「松茂流」とも呼ばれていたらしい。
【その他の中飛車(3)】山口英夫八段創案「英ちゃん流中飛車」

図の先手陣の駒組みが一例で、「英(ひで)ちゃん流中飛車」と呼ばれる。戦法の定義としてはおそらく「5筋の歩を保留していること」だと思われる。飛車先の歩が伸びていないので攻撃力は低め。後に☗6八飛や☗7八飛、☗3八飛と振り直す展開になったときに、5筋の歩を突いていない分一手早く対応できるメリットがある。
【その他の中飛車(4)】伊藤果八段創案の「風車戦法」

図の先手陣が「風車(かざぐるま)」と呼ばれる駒組み。伊藤果八段の得意戦法で、一段飛車が自陣内を動く様子がクルクル回る風車を連想させると言う理由でこの名が付いた。戦法の命名者は伊藤果八段本人である。先手番だと千日手になる可能性が割とあるが、先手でも千日手歓迎とは本人の弁。2025年度の升田幸三賞を受賞した由緒正しき戦法である。
【その他の中飛車(5)】矢倉規広七段愛用の「矢倉流中飛車」

図の後手陣の駒組みが「矢倉流中飛車」の基本形。矢倉規広七段が得意としていることでこの名が付いた独特の中飛車です。図のように左の銀を6四まで運ぶのが矢倉流中飛車の骨子で、居飛車に☗6六銀型を強要させるところからスタートする。図で☗9八香なら☖4五歩と角道を開けて、次に☖4二飛と手薄な4筋に飛車を回る。
【その他の中飛車(6)】端角中飛車「5五龍中飛車」

中飛車に振り、序盤早々☗9七角と9筋に角を上がるB級戦法。湯川博士著「奇襲大全」によると、広島県のアマ強豪である松田竹二郎氏が編み出した作戦だと言われる。また、漫画「5五の龍」の主人公駒形竜の得意戦法でもあり、作品内では「5五龍中飛車」の呼び名がある。