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【将棋戦法ミニ講座】『中飛車編vol.10』先手中飛車対☖5四歩型③〜☖4二金寄の変化〜

【将棋戦法ミニ事典】では、昭和の定跡から最新の戦型までさまざまな基本戦法を解説しています。

本記事のテーマは『先手中飛車対☖5四歩型』です。詳細は下の『テーマ図解説』をご覧ください。

【テーマ図】先手中飛車対☖5三銀型〜☖4二金寄の変化〜

〜テーマ図解説〜

テーマ図は先手中飛車対☖5三銀型の定跡型で、後手が☖4二金寄と守備を堅めたところ。持久戦を目指す場合、図の☖4二金寄は損にはならない手で、先手の指し手をもう一手見てから作戦を決める意味も含んでいる。後手はここから☖7四歩〜☖6四銀と指せば急戦模様、☖3三角ならミレニアムまたは居飛車穴熊を目指す駒組みになる。

テーマ図で先手は手が広く、何を指しても一局の将棋ではある。候補手としては①☗3六歩(第1図)、②☗6六歩(第6図)、③☗5九飛(第9図)などの指し手が考えられる。それぞれ順番に解説していきます。

桂馬の活用を優先する☗3六歩

【第1図】テーマ図で☗3六歩

◎テーマ図からの指し手①
☗3六歩(第1図)

まずはテーマ図で☗3六歩(第1図)を見ていきます。☗3六歩は美濃囲いの桂馬の活用を視野に入れた自然な手。ただし、すぐに☗3七桂と跳ねるのは上部の薄さが気になる。

図で後手は☖6四銀なら急戦模様ですが、角交換後に☗7一角の筋が気になる。☖6四銀と急戦に出るならもっと早い段階でいくべき。図では☖7七角成と角交換をして、☖2二玉(第2図)と穴熊を目指す指し方を見ていきます。

【第2図】☖2二玉の局面

◎第1図からの指し手①
☖7七角成 ☗同 銀
☖2二玉(第2図)

第2図の☖2二玉は居飛車穴熊を目指す指し方。☖1二香〜☖1一玉〜☖2二銀まで指せれば後手は一安心できる。先手は穴熊を阻止する手段はないので、組ませて戦う方針に切り替えていく。☗8八飛と向かい飛車に振り直す指し方は考えられる。

【第3図】☗6八金までの局面

◎第2図からの指し手
☗8八飛 ☖1二香
☗6六銀 ☖1一玉
☗7七桂 ☖2二銀
☗8九飛 ☖3一金
☗6八金(第3図)

第3図の先手の駒組みは、角交換型の振り飛車ではよく見る基本形。振り飛車側が先手番なので、千日手にするのは面白くないのでここから打開する義務がある。☗4七銀〜☗3八金と自陣を整備してから打開策を模索していくことになりそう。

【第4図】☖4四銀の局面

◎第1図からの指し手②
☖7七角成 ☗同 銀
☖4四銀(第4図)

第3図では後手が居飛車穴熊を目指す指し方を見てきましたが、もう一つ有力な指し方があります。それが☖4四銀(第4図)と上がる手です。☖4四銀は中央の守りを堅めて、次に☖3三桂〜☖2一玉とミレニアムに囲う狙いがある。

【第5図】☗6八金の局面

◎第4図からの指し手
☗4七銀 ☖3三桂
☗3八金 ☖2一玉
☗8八飛 ☖2二銀
☗6六銀 ☖3一金
☗7七桂 ☖7四歩
☗8九飛 ☖3二金寄
☗6八金(第5図)

第5図までの進行はプロの公式戦でも実戦例がある。先手はバランス型の木村美濃、後手はガチガチのミレニアムの堅陣が完成している。形勢は互角と思われますが、こちらも振り飛車側が先手番なので打開する筋を探す必要がある。

角交換を避けて戦う☗6六歩

【第6図】テーマ図で☗6六歩

◎テーマ図からの指し手②
☗6六歩(第6図)

第6図は先手が☗6六歩と突いて角交換の可能性を消した局面。後手から角交換をされると居飛車穴熊やミレニアムに組まれる狙いを阻止することが難しく、先手としても不満が残る。そこで☗6六歩と角交換を避ける手は考えられる。

【第7図】☖4四歩の局面

◎第6図からの指し手
☖3三角 ☗3六歩
☖2二玉 ☗3七桂
☖4四歩(第7図)

第6図まで進むと、お互いの角道が止まり局面は一旦落ち着いたと言える。図で先手には色々な手が見れますが、☗4八飛と寄る手がこの場合の急所でおすすめの指し方。後手は穴熊に組み切れれば強い戦いができるが...。

【第8図】☗6五歩の局面

◎第7図からの指し手
☗4八飛 ☖1二香
☗2五桂 ☖2四角
☗6五歩(第8図)

居飛車の☖1二香の瞬間に☗2五桂と仕掛けて第8図まで進む。図では☖1一玉でも☖3二玉でも、構わず☗4五歩と仕掛けて先手の調子が良さそうだ。この形で仕掛けられると、居飛車からすると相当に嫌な思いをする。一方的に攻め続けられる展開になれば、居飛車が正確に受け続けるのはかなり難しい。

一段飛車に構える有力策

【第9図】テーマ図で☗5九飛

◎テーマ図からの指し手③
☗5九飛(第9図)

本記事の最後に、テーマ図で☗5九飛と一段飛車に引く指し方を見ていきます。図の☗5九飛は中飛車の常套手段で、バランスに優れた手堅い手である。図で☖7七角成には、一段飛車の効果で☗同桂と取る手が成立する。8筋が薄いようですが、☖8六歩にはその瞬間☗7一角から後手陣を掻き乱す手があるようだ。

【第10図】☗6六銀の局面

◎第9図からの指し手①
☖3三角 ☗5七銀
☖2二玉 ☗6六銀(第10図)

第10図は後手が角交換を見送って穴熊を目指した局面。先手は☗5七銀〜☗6六銀と繰り出して中央に圧をかけていきます。図では次に☗5五歩☖同歩☗同銀の筋があるので☖6四銀と受けておいてどうか。

【第11図】☗3六金の局面

◎第10図からの指し手
☖6四銀 ☗5八金左
☖1二香 ☗4七金
☖1一玉 ☗3六金(第11図)

中央が☗6六銀ー☖6四銀の『銀対抗』の形で落ち着いたので、先手は高美濃囲いを目指すのですが、☗3六金と金を攻め駒として使う指し方をAIが推奨している。指されて見れば☗4五金の狙いは理解できるのだが、あまり見たことがない構想ではある。

【第12図】☗7一角の局面

◎第9図からの指し手②
☖7七角成 ☗同 桂
☖8六歩 ☗7一角(第12図)

第12図は、第9図からの変化手順。☖8六歩を手抜いて☗7一角と反発した局面になる。第9図の説明で少し触れましたが、この手が先手期待の反撃になります。この手では☗8六同歩が普通の手ですが、☖8七角と打ち込まれると馬を作られて少し面倒なことになる。飛車を縦に逃げるか横に逃げるかだが...。

【第13図】☗5五同飛の局面

◎第12図からの指し手
☖8四飛 ☗8六歩
☖同 飛 ☗5五歩
☖同 歩 ☗同 飛(第13図)

☗7一角に対して飛車を縦に逃げるか横に逃げるかですが、どちらにせよ先手は☗5五飛〜☗8五飛が狙いになる。低い陣形を保っている恩恵で、大駒を渡しても反動が小さいのである。第13図は先手好調。

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