みなさんこんにちは!編集部のさめはだです。
将棋の解説を聞いていると、「7二金寄」や「4二金直」など、指し手に特殊な『符号』が付くことがあるんですけど、コレ、どう言う場合に付けられているのでしょう?
初心者の方は、なかなか理解するのが大変なこの『符号』、ひとつずつ覚えていきましょう!
『符号』は全部で11種類ある
『〜右』や『〜寄』など、棋譜で表記されるこれらの符号は、全部で11種類あります。
『同』『打』『成』『不成』『右』『左』『直』『上』『引』『寄』『行』の11種類です。
これらの符号は、とある条件下で記載されるルールとなっているのですが、これがなかなか難しい。順番に覚えていきましょう。
「同」について
「同」は「どう」または「おなじく」と読みます。
自分・相手の指した手に対して、同じ場所に駒を進めた場合に必ず表記します。
解説や棋譜の読み上げなどでは、「おなじく」と発することが多いです。
「成」と「不成」について
「成」の読み方は「なり」または「なる」、「不成」の読み方は「ならず」が正しい読み方となります。
飛車や銀、桂馬などが、成れる場所に動いた場合、必ず「成」か「不成」を表記します。
『不成』を『ふなり』と読む解説者もいる気がしますが、厳密には間違いだと思います。
「打」について
「打」は「うつ」と読みます。
解説などでは、「うち」や「だ」と言っている場合もあります。
持ち駒を盤上に打つ場合に表記することがありますが、持ち駒を盤上に打っても必ず「打」と表記するわけではないのです。
「打」については、表記する場合とそうでない場合があるので、図面を使ってみてみましょう。
まずは下の図から。
持ち駒の銀を打ったこの場合は、☗3二銀打と表記します。
単に☗3二銀だと、4三の銀が3二の地点に移動したのか、持ち駒の銀を3二の地点に打ったのかの区別がつかないためです。
次の図を見てみましょう。
先程の図面と比べると、4三の地点の駒が銀から成り銀に変わっています。
この局面の場合、持ち駒の銀を3二の地点に打っても「打」の符号は付けません。
「えっ、なんで?」と疑問に思う方もおられると思いますが、図の3二の地点の銀は「どこから移動してきたのか」と考えれば分かりやすいと思います。
この局面の場合、盤上に3二の地点に移動できる銀はないので、駒台から打ったんだなと分かります。
なので単に☗3二銀と表記します。
「右」と「左」について
「右」と「左」は、そのまま「みぎ」「ひだり」と読みます。
「直」について
「直」は「すぐ」と読みます。
最近の解説では、「ちょく」と言っている人が多いのですが、これは間違いです。
おそらくですが、すぐの「す」の摩擦音が聞き取りづらいから、あえて「ちょく」と言っているのかな?
「上」について
「上」は「あがる」と読みます。
解説などでは、「あがり」という場合もあります。
「引」について
「引」は「ひく」と読みます。
解説などでは、「ひき」と言う場合もあります。
「寄」について
「寄」は「よる」と読みます。
解説などでは、「より」と言う場合もあります。
「行」について
「ゆく」という符号、現在では目にすることはなくなりましたが、昔の棋譜などを見ると使われています。
いつ頃から使われなくなったのかは調査不足でわかりません。
この「行」という符号は、飛車と角、竜などが自陣から敵陣に動いたときに使われていたようですが、「上」と意味的に同じなので使われなくなったのではないか。
複数の符号を付ける場合の順番
指し手には、複数の符号を付ける場合もあります。
例えば『3二銀引成』や『3七同金寄』などですね。
まず「打」は他の符号と合わせて使うことはありません。
次に、合わせて使う場合のルールですが、符号は4つのグループに分けることができます。
①「同」
②「右・左・直」
③「上・引・寄」
④「成・不成」
複雑な局面について
上の図は、5二の地点に四枚の銀が利いている局面です。
ここで『4三の銀』を5二に成った時、どう読み上げるのかわかりますか?
正解は『☗5二銀右上成』(ごーにーぎん、みぎ、あがる、なる)です。