ゲーム

【将棋】将棋ウォーズで『二歩』を実装したら絶対やらかす件

将棋には『二歩』というルールがある。

私は普段、将棋ウォーズを主戦場にネットで将棋を指しているので二歩には縁がない。

無論、システムという絶対防御に守られているため、二歩を犯すなんてことはまずないのだ。

指した瞬間「あっ」となることはたまにあるが、システムに守られてるのでセーフである。

二歩(にふ)とは?

初心者のために説明しておくと、二歩(にふ)とは、自分の歩のある筋に2枚目の歩を打ってはいけませんよ、という基本ルールである。

もし実戦で『二歩』をやってしまった場合、即座に反則負けとなるので注意しよう。

将棋ウォーズや将棋倶楽部24などのネット環境を利用した将棋では、システム上二歩が打てない仕様になっているので安心だが油断は禁物だ!

相手が二歩に気づかなかったらどうなる?

二歩を指した瞬間に相手、もしくは第三者が気づいて指摘が入った場合は即座にゲームセットとなる。だが、もしも相手が二歩の反則に気づかずにそのまま対局が進み、その上相手が投了してしまわれた場合はどうなるのか?

プロの公式戦でこのような前例はこれまでに一度も記録されていないが、日本将棋連盟の公式ルールでは投了よりも棋譜を優先するという規定がある。

・両対局者が反則に気づかずに対局を続行し、終局前に反則行為が確認された場合には、反則が行われた時点に戻して反則負けが成立する。

・終局後に反則が判明した場合には、終了時の勝敗に関わらず、反則を犯した対局者は負けとなる。

つまり、対局終了後に棋譜を確認し、そこで二歩が発覚した場合はその時点で反則負けが成立し、勝敗は入れ替わるのである。

このように、ルール上は二歩を指したプレイヤーの反則負けとなるのだがアマチュアの場合は話が変わってくる。

アマチュアの将棋ファンが将棋を楽しむ機会は、主に町の将棋道場や小さな将棋大会など、観戦者や記録係がおらず棋譜などの記録も残らない場合が多い。

そのような場所では、二歩をしても対局中相手に気づかれなければ後から二歩が発覚する証拠がなくなるため、二歩が成立します。

そもそも二歩はなぜ禁じ手なのか

『二歩を禁止とする』が正式なルールとして取り決められたのは江戸時代の初期、二世名人大橋宗古が自身の著書『象戯図式』にてルール化したのが最初とされている。

将棋のゲームバランスを考えると、それ以前の時代から禁じ手だったと思いますが、書物などが残っておらず確認することは困難となっている。

二歩が禁止となった理由は憶測でしかないが、飛車先の歩の前に歩を打てると攻撃の威力が凄まじいこと、自陣に歩が打てると囲いの固さが理不尽になること、千日手が多くなることなどが考えられる。

また、将棋の駒の中で『歩兵』は18枚と最も枚数が多く、手持ちの駒にもなりやすいので、同じ筋に何枚も打てるのは面白くないからなど、ゲームバランスを考えられてのことだろう。

プロの公式戦での二歩による反則負け

実戦で二歩の反則を犯すのは、なにも初心者に限ったことではない。意外に思われるかも知れないが、二歩による反則はプロの公式戦でもしばしば起こるのだ。

プロの公式戦は年間およそ2300局〜2500局ほどの対局が行われているのだが、これまでに年間平均約1局ほどの頻度で二歩による反則が記録されている。

それでは早速、二歩を犯した棋士のエピソードを含めて何局か紹介しよう!

1, 大山康晴十五世名人による二歩

ご存知であろうが、大山康晴十五世名人といえばタイトル80期を誇る昭和を代表する棋士である。

そんな大山名人でも、二歩による反則をしたことがあるのだ。

1956年の九段戦挑戦者決定三番勝負、後手の原田八段が☖5八飛と打ち、大山名人の玉に王手を掛けた局面で先手が選んだ合い駒は☗2八歩打!(図)

この局面、よく見ると敵陣深く2二の地点に先手の歩が垂れているではないか。

まさに「弘法にも筆の誤り」、実戦ではこの局面で両対局者が二歩に気づかず五手進んだところで二歩の反則に気づき、先手の大山名人の反則負けとなったという。

2, 山崎隆之八段による二歩

山崎隆之八段といえば、順位戦でA級に在籍したこともあるトップ棋士の一人だ。

そんな山崎八段だが、四段に昇段したばかりの将棋で二歩をやってしまったことがある。

先手の佐伯昌優八段の打った☗4二銀の詰めろに対して、山崎四段が☖4一歩打(図)と手堅く底歩で受けたがこれが二歩だった。

先手陣4八の地点にあるもう一枚の歩はわずか6手前に打った手裏剣の歩。

うっかり見落としてしまったのだろうが、ここで反則負けとなった。

3, 山崎隆之八段による二歩(2度目)

山崎隆之八段の二度目の二歩。

横歩取りの終盤戦、後手の小林裕士五段の打った☖3六歩に対して、玉頭に焦点の歩を放つがこれが二歩であった。

盤面右下の駒がゴチャゴチャしたところ、3九の歩は四手前に打った金底の歩。

この局面で反則負けが決定した。

6, その他、珍しい形の二歩

プロの二歩による反則負けを調べていると、その多くに同じような法則があることがわかった。

① 自陣に打った底歩を見落として、敵陣に歩を打ってしまう。

② 敵陣に打った歩を見落として、自陣に底歩を打ってしまう。

おそらく、二歩を経験したことのあるアマチュアの方も、思い出してみるとこのどちらかに当てはまるのではないか。

この法則に当てはまらない珍しい二歩の事例がある。

☗9四歩がいるのに☗9二歩を打つ

小林健二九段が犯した珍しい二歩がある。

後手の穴熊玉に対して、9四歩がいる局面で☗9二歩打(仮想図)と王手を放ったことがある。

2マス離れた場所に打つ二歩はとても珍しく、他では見たことがない。

☗5七歩の上に☗5六歩と重ね打ち

1982年の将棋で、二歩の反則をした棋士は山口千嶺八段である。

古い将棋で詳細は不明だが、盤上5七の歩がいるのに☗5六歩打(仮想図)と歩の重ね打ちをしたという。

なんとも謎めいたインパクトのある局面だが、実際は駒台の桂馬と歩を間違えて打ったというエピソードが残っている。

-ゲーム
-